海運ウィークリー

海運ウィークリー 2026年11月5日|ZIM以外ほぼ全社がスエズへ、南西アフリカPSSに日本発

2026年10月29日〜11月5日の週は、アジア〜欧州の主要船社がほぼそろってスエズ経由へ戻る日程が固まった一週間だった。Loadstarは、喜望峰回りが残るのはZIMだけになる見通しと報じ、Yang MingのMD1(11月10日)・MS2(11月16日)の復帰はONEの顧客案内でも裏付けられた。サーチャージでは、Hapag-Lloydが日本を含むアジア・オセアニア発の南西アフリカ向けPSS 800ドル/TEU(10月25日積みから)を課しており、Maerskは極東発の南アフリカ・モーリシャス向けPSSを11月9日から4倍に引き上げる。運賃はDrewry WCIが4週ぶりに下落し、アジア〜欧州の反発は止まった。米中間選挙後、ブレント原油は開戦後初めて100ドルを割り込んだが、ホルムズ海峡では被弾が続いている。

今週の要点

  • アジア〜欧州はZIM以外ほぼ全社がスエズへ。Loadstar(11月3日)は主要船社がアジア〜北欧州・地中海の全サービスをスエズ経由に戻す見通しと報じた。Evergreenの東航(欧州→アジア)初通航は11月7日(Ever Eon)の見込みで、当初報道の11月4日からずれた。Yang MingのMD1は11月10日寧波発、MS2は11月16日青島発(ONEの顧客案内)。ただしAlphalinerは11月14日・11月28日としており、日付には幅がある。
  • 日本発も対象の南西アフリカ向けPSS。Hapag-Lloydは中国・韓国・日本・東南アジア・オセアニア発のルアンダ、ポワントノワール、ドゥアラなど南西アフリカ向けにPSS 800ドル/TEUを10月25日積みから課している(全コンテナ種別、期限なし)。
  • 南アフリカ向けのPSSが相次ぐ。Maerskは極東発南アフリカ・モーリシャス向けPSSを11月9日積みから20ft 1,000ドル/40ft 2,000ドルへ引き上げる(従来の4倍、報道上の対象は中国・東南アジア等)。Hapag-Lloydの南アフリカ向けPSS 500ドル/TEU(日本発も対象)は11月3日に発効した。
  • 運賃は4週ぶりに下落、原油は100ドル割れ。Drewry WCI(10月29日)は総合4,429ドル(▼3%)。上海→ロッテルダムは+1%、ジェノヴァは横ばいで、欧州向けの反発は止まった。ブレント原油は11月4日に94.62ドル(Reuters)。

コンテナ運賃と市況

項目 水準 前週比
Drewry WCI 総合指数(40ft、10月29日) 4,429ドル ▼ 3%
上海 → ロッテルダム(10月29日) 3,686ドル ▲ 1%
上海 → ジェノヴァ(10月29日) 4,151ドル ± 0%
上海 → ロサンゼルス(10月29日) 7,514ドル ▼ 6%
アジア〜欧州の欠便(Drewry、翌週) 4便 8便から減
ブレント原油(11月4日終値) 94.62ドル 前週は114ドル台
テマ(ガーナ)滞船 6.77 日 改善
アビジャン(コートジボワール)滞船 3.0 日 改善
ラゴス/アパパ(ナイジェリア)滞船 4.67 日 —
コナクリ(ギニア)滞船 7.38 日 —
ダーバン(南アフリカ)滞船 7.54 日 悪化
モンバサ(ケニア)滞船 1.67 日 改善
ベイラ(モザンビーク)滞船 9.71 日 改善

Drewry WCIは毎週木曜(英国時間)の発表で、本記事の執筆時点では11月5日分が未公表のため、10月29日分を掲載している。総合指数の下落は主に太平洋航路(上海→ロサンゼルス▼6%)によるもので、Drewryは米国の輸入需要の鈍化でさらに軟化するとみる。アジア〜欧州は上海→ロッテルダムが+1%、ジェノヴァが横ばいで、3週続いた反発は事実上止まった。翌週のアジア〜欧州の欠便も8便から4便に減り、主要船社のスエズ復帰で船腹はさらに戻る。年末に向けて欧州・地中海向けは下げ方向を想定し、長期契約を現在の水準前提で組むのは慎重にしたい(海上運賃の内訳と見積の読み方)。

一方で、船社の業績は強い。COSCO Shipping Holdingsの第3四半期純利益は172.30億元(前年同期比+81%、中国紙報道)、ONEは通期純利益予想を9億ドルから20億ドルへ引き上げた。運賃が下がり始めても、値下げ競争への移行は緩やかになりそうだ。

港湾では、西アフリカが軒並み改善した(Kuehne+Nagel、10月27日〜11月3日)。テマは7.56日から6.77日へ(日本→テマ航路)、アビジャンは3.0日。ただしテマのヤード満杯・トラック不足は11月中続く見込みとされる。ダーバンは7.54日へ悪化し、11月2日時点で17隻・約8.5万TEUが沖待ち。Kuehne+Nagelは混雑を「構造的」とし、2027年1〜3月末までは大きな改善を見込まない(日本→ダーバン航路)。モンバサは1.67日と落ち着いている(日本→モンバサ航路)。

アフリカ向けの追加料金——荷主が見るべき3点

  • 「日本発が対象か」を船社ごとに読む。Hapag-Lloydの南西アフリカ向け(800ドル/TEU)と南アフリカ向け(500ドル/TEU)は日本を名指ししている。Maerskの南アフリカ向け(11月9日〜)、CMA CGMの中国発西アフリカ向け(ナイジェリア等700ドル/TEU、11月1日〜)は、報道上は日本発を含まない。
  • 中国発との差が開いている。CMA CGMの中国発西アフリカPSSは3週で200→350→700ドル/TEUと上がった。日本発で対象外の料金が増えるほど、中国発の貨物との総額差は縮む。基本運賃と合わせて比較したい。
  • 積み日で総額が変わる。10月25日(Hapag-Lloyd南西アフリカ)、11月3日(同南アフリカ)、11月9日(Maersk南アフリカ)、11月15日(CMA CGMレユニオン、極東発300ドル/TEU)と発効日が並ぶ。見積の有効期限と積み日を必ず突き合わせたい。

船社別の動き

MSC動きなし

極東発サブサハラ・アフリカ/インド洋向けの11月分運賃の告知は、本記事執筆時点で確認できない(10月15日〜31日適用分が最新)。11月積みは最新の運賃で見積を取り直したい。そのほかコンテナ事業の新規発表は確認できなかった。

Maersk動きあり

極東発南アフリカ・モーリシャス向けPSSを11月9日積みから20ft 1,000ドル/40ft 2,000ドルへ引き上げる(ベトナム発は11月10日、従来は250/500ドル)。中国・香港発ダルエスサラーム向けPSSも11月9日から20ft 1,200ドル/40ft 2,000ドルへ。11月2日にはダーバン輸入の延滞フリータイムを4日から5日へ延長した(12月31日まで)。Hapag-LloydとのGemini ME1(インド〜欧州)は11月4日サラーラ発からスエズ経由に戻る。第3四半期決算は11月5日発表予定で、本記事執筆時点では未発表。

CMA CGM動きあり

中国発西アフリカ向けPSSを11月1日積みから再改定し、ナイジェリア・コートジボワール・ベナン・トーゴ・赤道ギニア向けを700ドル/TEU(従来350ドル)、アンゴラ・コンゴ・カメルーン等を900ドル、セネガルを400ドルとした(ガーナは据え置き)。11月15日からは極東発レユニオン向けにPSS 300ドル/TEUを課す。

COSCO動きあり

10月29日に第3四半期決算を発表した。7〜9月の売上は756.92億元(前年同期比+29.4%)、親会社株主帰属の純利益は172.30億元(+80.7%)、コンテナ取扱量は721.15万TEU(+4.5%)。1〜9月累計の純利益は306.49億元(+13.2%)。上半期の減益から一転して大幅増益となった。

Hapag-Lloyd動きあり

アジア・オセアニア(中国・韓国・日本・東南アジア・オセアニア)発の南西アフリカ向けPSS 800ドル/TEUを10月25日積みから課している(ルアンダ、ロビト、カビンダ、ポワントノワール、マタディ、ドゥアラ、クリビ、ウォルビスベイなど)。前週発表の南アフリカ向けPSS 500ドル/TEUは11月3日に発効した。ZIM買収は今週も新しい動きがなく、改善案の正式書類は11月8日前後が目安とされる。第3四半期決算は11月12日。

ONE動きあり

11月4日に2026年度上期決算を発表した(報道ベース)。7〜9月の純利益は13.18億ドル(前年同期2.85億ドル)、平均運賃は1,709ドル/TEU。通期の純利益予想を9億ドルから20億ドルへ上方修正し、前提に「スエズは徐々に回復、ホルムズは年度末まで現状のまま」を置いた。FE1のONE Continuityは11月9日に初の西航スエズ通航を予定している。

Evergreen動きあり

Loadstar(11月3日)によると、東航(欧州→アジア)のスエズ通航はCESのEver Eonが11月7日、Ever Editが11月11日、MD2のEver Giftedが11月16日の予定。中国〜紅海のOGRDも11月12日青島発から再開する。アジア→欧州(西航)の再開計画は報じられていない。

HMM動きなし

今週の新規発表は確認できなかった。Premier AllianceとしてONE・Yang Mingとともにスエズ復帰に加わる一方、自社運航のFIMは往復とも喜望峰回りを続ける。第3四半期決算は11月中旬の見込み。

Yang Ming動きあり

ONEの顧客案内によると、MD1はYM Trustの11月10日寧波発、MS2はONE Synergyの11月16日青島発からスエズ経由となる。MD1はソフナに寄港しピレウスを外す。ただしAlphalinerは11月14日・11月28日とするなど日付には幅があり、台湾紙は通航可否をシンガポールなどで改めて安全評価して決めると伝えている。

ZIM動きあり

11月2日、第3四半期決算を11月18日に発表すると告知した。紅海への復帰の動きはなく、Linerlyticaは主要船社で喜望峰回りが残るのはZIMだけになるとみている。年次株主総会は12月1日。

Wan Hai動きなし

今週の新規発表は確認できなかった。10月の月次売上は11月10日前後に公表される見込み。

紅海とホルムズの前提条件

紅海(バブ・エル・マンデブ海峡)側では、今週も新たな商船被弾の報道は見つからなかった(10月4日以降5週連続)。主要船社のスエズ復帰の流れは続いている。

ホルムズ海峡では、11月1〜3日に5件の被弾が確認された(Riviera、11月4日)。インドのダウ船で乗組員1名が死亡し、UAEのタグボートが沈没した。IMOの集計では開戦以来128件・船員24名が死亡しており、海峡は商業通航が事実上閉ざされたままだ。11月2日には米軍がイランのケシュム島を攻撃した。11月3日の米中間選挙では民主党が上下両院を制し、トランプ大統領は新たな攻撃を「直ちには」行わないと述べた。これを受けてブレント原油は11月4日に94.62ドルと開戦後初めて100ドルを割り込んだ(Reuters)。ただし原油安は政治的な観測によるもので、海峡の状況自体は改善していない。燃料系の緊急サーチャージは各社が定期的に見直しているため、12月積みに向けて改定の有無を確認したい。

荷主・フォワーダー向けの実務ポイント

  • 中部〜南西アフリカ向けは日本発でもPSSが乗っている。Hapag-Lloydのポワントノワール、ドゥアラ、ルアンダなど向けは10月25日積みから800ドル/TEU。見積に含まれているか確認したい。
  • 南アフリカ向けは船社ごとの総額比較を。Hapag-Lloydは日本発を含む500ドル/TEU(11月3日〜)、Maerskは11月9日から極東発を大幅に引き上げる(日本発の扱いは各社窓口で確認を)。
  • ダーバンは年明けまで日数に余裕を。Kuehne+Nagelは2027年1〜3月末まで大きな改善はないとみる。ダーバン積替えの東アフリカ・インド洋向けも同様(デマレージ・ディテンションの基礎)。
  • 欧州・地中海向けの運賃は下げ方向。反発は止まり、スエズ復帰で船腹が戻る。ただし船社の業績は強く、下げは緩やかになりそうだ。
  • 燃料サーチャージは引き下げの余地を確認。ブレントは100ドルを割り込んだ。ただしホルムズの状況は変わっておらず、再上昇のリスクも残る。

来週以降の注目

  • 11/5Drewry WCIの次回発表、Maersk 第3四半期決算(本記事執筆時点で未発表)。
  • 11/7Evergreen Ever Eon(CES)の東航スエズ通航。
  • 11/9Maersk 極東発南アフリカ・モーリシャス向けPSS引き上げ発効。ONE Continuity(FE1)の初の西航スエズ通航。
  • 11/10Yang Ming MD1のスエズ復帰(YM Trust、寧波発)。Evergreen・Yang Ming・Wan Haiの10月月次売上。
  • 11/12Hapag-Lloyd 第3四半期決算。Evergreen OGRD(中国〜紅海)再開。
  • 11/15CMA CGM 極東発レユニオン向けPSS 300ドル/TEU発効。
  • 11/16Yang Ming MS2のスエズ復帰(ONE Synergy、青島発)。
  • 11/18ZIM 第3四半期決算。
  • 11/22Gemini SE5初便(Maersk Edirne、上海発)。
  • 12月第3週Maersk 西アフリカ新体制(WAF1・WAF5・WAF3・WAF6)開始。
  • 継続ダーバンの構造的混雑、テマの混雑(11月中)、ホルムズ情勢と原油価格(ETD・ETA・カットの見方、日本→ダルエスサラーム航路)。

出典

  1. Drewry — World Container Index
  2. Kuehne+Nagel — Port operational updates (27 Oct–3 Nov)
  3. Kuehne+Nagel — Durban congestion remains severe
  4. The Loadstar — Major liners set to resume all Asia-Europe services through Suez
  5. PortNews — La Premier Alliance torna sul Canale di Suez
  6. Container News — Hapag-Lloyd updates Southwest Africa surcharge
  7. Container News — Maersk revises Far East Asia surcharge to South Africa and Mauritius
  8. Maersk — China, Hong Kong to Kenya / Dar es Salaam PSS increase
  9. Freight News — Maersk extends Durban import detention free time
  10. Food Business MEA — Maersk, Hapag-Lloyd return ME1 to Suez
  11. BusinessDay — CMA CGM $700 surcharge on China–Nigeria cargo
  12. Container News — CMA CGM announces new Asia–Africa surcharges for November
  13. 界面新聞 — 中遠海控 第3四半期決算
  14. El Estrecho Digital — ONE raises annual forecast to USD 2 billion
  15. PR Newswire — ZIM to release Q3 2026 results on 18 November
  16. FreightWaves — Hapag-Lloyd’s ZIM takeover heads for reset
  17. 経済日報 — 陽明 紅海復航
  18. Riviera — Fresh Hormuz attacks leave seafarer dead and several vessels damaged
  19. gCaptain — Trump plays down prospect of Iran strikes after midterm rout
  20. Oil & Gas Middle East — Brent hits 4-week low on Iran talks

本記事は、各社の公表資料および報道をもとに OCEAN FREIGHT JAPAN 編集部がまとめたものです(対象期間:2026年10月29日〜11月5日)。Drewry WCI は執筆時点で最新の10月29日発表分、港湾の滞船は Kuehne+Nagel の10月27日〜11月3日版を掲載しています。COSCO・ONE の決算数値は報道に基づくもので、各社の開示資料原文とは表記が異なる場合があります。運賃・サーチャージの水準や適用条件は発表後に変更される場合があり、発地・貨物・契約条件によって実際の適用と異なることがあります。実務での適用可否は、必ず各船社の正式タリフおよび見積でご確認ください。