海運ウィークリー

海運ウィークリー 2026年10月29日|Yang Ming・Evergreenもスエズへ、南ア向けPSSに日本発

2026年10月22日〜29日の週は、最後まで喜望峰回りを続けていた船社もスエズへ動き出した一週間だった。台湾紙の報道によると、Yang Mingはアジア〜地中海のMD1を11月10日から、MS2を11月16日から往復ともスエズ経由に戻し、Evergreenも11月4日発のCES(欧州→アジア)で約3年ぶりにスエズを片道1回試す。サーチャージでは、Hapag-Lloydが日本を含むアジア・オセアニア発の南アフリカ向けPSS 500ドル/TEU(11月3日積みから)を発表し、CMA CGMはテマ向けの港湾混雑料(極東発200ドル/TEU、11月1日積みから)を新設した。運賃はDrewry WCIが3週連続で上昇したものの上げ幅は縮み、船社はアジア〜欧州の欠便を増やして水準を支えている。ホルムズ海峡では10月が開戦以来最悪の月となり、ブレント原油は10月24日に116ドル台をつけた。

今週の要点

  • Yang MingとEvergreenもスエズへ。Yang MingはMD1を11月10日、MS2を11月16日からスエズ経由に戻すと報じられた(工商時報10月27日、所要10〜14日短縮)。Evergreenは11月4日発のCESで欧州→アジアの片道1回をスエズ経由で試す(同10月19日)。いずれも船社の公式通知は未確認。実現すれば、主要10社で紅海に戻っていないのはZIMだけになる。
  • 日本発が明記された南アフリカ向けPSS。Hapag-Lloydが10月27日、中国・韓国・日本・東南アジア・オセアニア発ダーバン/ケープタウン向けのPSS 500ドル/TEUを発表した(11月3日積みから、全コンテナ種別、期限なし)。
  • 西アフリカの混雑料が11月1日から。CMA CGMはテマ(極東発ドライ200ドル/TEU)、フリータウン(極東・インド・中東発700ドル/TEU)、モンロビア(極東発ドライ300ドル)の港湾混雑料を11月1日積みから課す。テマの滞船は今週7.56日へ悪化した。
  • アジア〜欧州の運賃は3週連続上昇、ただし鈍化。Drewry WCI(10月22日)は総合4,585ドル(+2%)、上海→ロッテルダム3,632ドル(+3%)。Drewryは翌週のアジア〜欧州の欠便が2便から8便に増えるとしている。

コンテナ運賃と市況

項目 水準 前週比
Drewry WCI 総合指数(40ft、10月22日) 4,585ドル ▲ 2%
上海 → ロッテルダム(10月22日) 3,632ドル ▲ 3%
上海 → ジェノヴァ(10月22日) 4,152ドル ▲ 5%
上海 → ロサンゼルス(10月22日) 8,007ドル ▲ 2%
極東 → 北欧州(Xeneta、10月23日) 3,698ドル/FEU ▲ 6.8%
極東 → 地中海(Xeneta、10月23日) 4,442ドル/FEU ▲ 5.8%
極東 → 米国西岸(Xeneta、10月23日) 8,311ドル/FEU ▲ 0.2%
ブレント原油(10月28日終値) 114.11ドル 10月24日は116.72ドル
テマ(ガーナ)滞船 7.56 日 悪化
アビジャン(コートジボワール)滞船 5.0 日 —
ダーバン(南アフリカ)滞船 7.29 日 横ばい
ポートルイス(モーリシャス)滞船 6.0 日 —
モンバサ(ケニア)滞船 3.0 日 横ばい
シンガポール滞船 1.18 日 改善

Drewry WCIは毎週木曜(英国時間)の発表で、本記事の執筆時点では10月29日分が未公表のため、10月22日分を掲載している。アジア〜欧州の反発は3週目も続いたが、上海→ロッテルダムは3,632ドルと、船社が掲げるFAKの水準にはまだ届いていない。Xeneta(10月23日)では極東→北欧州が+6.8%と強めに出ており、欧州の需要は1〜7月で前年比+12.2%と底堅い。一方でDrewryは、翌週のアジア〜欧州の欠便が2便から8便に増えるとしており、船社は船腹を絞って水準を支えている。Yang Ming・Evergreenのスエズ復帰で船腹はさらに戻るため、年末までは下がりにくく上がりきらない展開を想定し、長期契約を現在の水準前提で組むのは慎重にしたい(海上運賃の内訳と見積の読み方)。

港湾では、テマが2週連続で悪化し7.56日となった(ヤード高稼働・リーファー混雑・トラック不足)。11月1日からはCMA CGMの混雑料も加わるため、テマ向けは運賃・PSS・混雑料を合わせた総額で比較したい(日本→テマ航路)。ダーバンは7.29日とほぼ横ばいだが、DGTでは沖待ちが平均10.5日に達し、ポートルイスではダーバンの遅れを理由に第48週まで東航の抜港が出ている。ダーバン積替えで東アフリカ・インド洋へ向かう貨物は、日数と現地での保管・返却期限に余裕を見たい(日本→ダーバン航路、デマレージ・ディテンションの基礎)。モンバサは3.0日で落ち着いているが、Hapag-Lloydは10〜12月の豪雨による荷役への影響を注意喚起している(日本→モンバサ航路)。

南アフリカ・西アフリカ向けの追加料金——荷主が見るべき3点

  • 南アフリカ向けは「日本発も対象」が明記された。これまでのアフリカ向けPSSは「中国発」「極東発」など起点の書き方が告知ごとに異なったが、Hapag-Lloydの500ドル/TEU(11月3日積みから)は対象に日本を名指ししている。CMA CGMの極東発ダーバン750ドル/TEU(10月22日発効)と合わせ、11月以降のダーバン向けは複数の船社でPSSが乗る前提で見積を確認したい。
  • 積み日で総額が変わる。11月1日(CMA CGM 混雑料)・11月3日(Hapag-Lloyd PSS)の前後で総額が変わるため、10月末〜11月初旬の案件は本船の積み日を確認しておきたい。
  • 同じ港でも起点で料金が違う。CMA CGMはダーバン向けに「極東発750ドル」と「中国発1,050〜1,150ドル(10月末まで)」を並行して告知している。発地を明示して正式タリフで確認したい。

船社別の動き

MSC動きあり

10月17日、極東発北欧州・地中海・黒海向けの11月運賃(11月1日発効、最長11月14日まで)を告知した。極東発サブサハラ・アフリカ/インド洋向けは10月15日〜31日適用分の後継となる11月分の告知が、本記事執筆時点では確認できない。11月積みは最新の運賃で見積を取り直したい。アジア〜北欧州Britanniaの第45・46週の欠航は変更なし。

Maersk動きあり

前号で報じた中国・香港・台湾発西アフリカ向けPSS(20ft 800ドル・40ft 1,600ドル)が10月26日に発効した。日本発への言及はない。Gemini AE12(Hapag-Lloyd名SE1)の初便Umm Qarnは10月27日タンジュンペラパス発でスエズ経由の航海に入る予定。11月1日発効のアフリカ向け新PSSは確認できなかった。第3四半期決算は11月5日。

CMA CGM動きあり

10月20日、テマ・フリータウン・モンロビア向けの港湾混雑料を発表した(11月1日積みから、米国・ブラジル発は11月15日から)。テマは極東発ドライ200ドル/TEU(欧州・地中海・米州発は200ユーロ/200ドル、リーファーは850ユーロ/1,000ドル)、フリータウンは極東・インド・中東発700ドル/TEU、モンロビアは極東発ドライ300ドル。10月19日には中国発ダーバン向けPSS(華南1,050ドル/TEU・10月22〜31日積み、華北・華中1,150ドル/TEU・10月28〜31日積み)も告知している。前号で報じた極東発ポートルイスPSS 1,235ドル/TEUは10月28日に発効した。

COSCO動きなし

第3四半期決算は本記事執筆時点で未発表(発表日は10月29日または30日)。上半期は取扱量が約8%増えた一方、純利益は34%減だった。運賃・サービスの新規発表は確認できなかった。

Hapag-Lloyd動きあり

10月27日、アジア・オセアニア発南アフリカ(ダーバン・ケープタウン)向けPSS 500ドル/TEUを発表した(11月3日積みから、全コンテナ種別、期限なし、中国・韓国・日本・東南アジア・オセアニア発)。10月21日にはスエズ運河庁の長官が同社に全サービスの運河復帰を要請し、同社は「アジア航路の2本はすでにスエズ経由で、さらに続く」と応じた。ケニアの10〜12月の豪雨による荷役への影響も注意喚起している。ZIM買収は今週も新たな動きがなく、9月24日に骨子を示した改善案の正式書類は「45日以内」(11月8日前後が目安)とされている。第3四半期決算は11月12日。

ONE動きなし

今週の新規発表は確認できなかった。Premier AllianceのFE1(ONE Continuity)は11月9日に初の西航スエズを予定する。Yang Mingと共同配船するMS2も11月16日からスエズ経由に戻ると報じられている。2026年度上半期決算は未発表。

Evergreen動きあり

工商時報(10月19日)によると、自社が運航するOcean AllianceのCESで、11月4日発の欧州→アジアの片道1回をスエズ・紅海経由で試す。約3年ぶりの紅海復帰となる。英語メディアや船社の公式通知では確認できていない。アジア発(西航)の再開は今後の判断となる。

HMM動きなし

今週の新規発表は確認できなかった。9月に始まったインド〜東アフリカのGIAは、ナバシェバ→ムンドラ→ダルエスサラーム→モンバサを回る(約2,800TEU船5〜6隻、COSCO・PIL・Interasiaと共同運航)。東アジアからはインドでの積替えで接続する形になる(日本→ダルエスサラーム航路)。

Yang Ming動きあり

工商時報(10月27日)によると、アジア〜地中海のMD1を11月10日から、MS2を11月16日から往復ともスエズ経由に戻す。所要日数は10〜14日短縮し、週1便の維持に必要な船を2〜3隻減らせる。同社は「港湾混雑や欠便で実効船腹は増えにくく、運賃は持ちこたえる」とみている。公式通知は未確認。第3四半期決算は11月中旬の見込み。

ZIM動きなし

今週の新規発表は確認できなかった。年次株主総会は12月1日。Yang Ming・Evergreenがスエズへ動けば、主要10社で紅海に戻っていないのはZIMだけとなる。ZIMの貨物は当面、喜望峰経由の所要日数で見ておきたい。

Wan Hai動きなし

今週の新規発表は確認できなかった。9月の月次売上は217.75億台湾ドル(前年同月比+97.6%)で、4年超ぶりの高水準だった。

紅海とホルムズの前提条件

紅海(バブ・エル・マンデブ海峡)側は、10月4日のChrystal Sky以降、4週連続で新規の商船被弾は確認されていない。JMICの注意報(10月23日までのデータ)でも確認事案はなく、脅威レベルは「SUBSTANTIAL」のまま据え置かれた。10月21日にはスエズ運河庁がHapag-Lloydに全サービスの復帰を要請しており、運河側の誘致も続いている。

ホルムズ海峡では、10月が開戦以来最悪の月となった。Washington Instituteの集計で10月の商船攻撃は28件、2月28日以降で113件に上る。IMF PortWatchによる10月18日の通航は4隻(危機前は1日約85隻)にとどまり、Drewryによると第42週に湾内へ入ったコンテナ船は2便のみだった。ブレント原油は10月24日に116.72ドル、10月28日は114.11ドル。米中間選挙(11月3日)後の軍事行動の可能性も報じられている。ホルムズを通らない航路でも、原油高は燃料サーチャージを通じてコストに波及するため、12月積みにかけての改定と戦争危険の保険条件は確認しておきたい。

荷主・フォワーダー向けの実務ポイント

  • 南アフリカ向けは11月3日積みからHapag-LloydのPSS 500ドル/TEUが乗る(日本発も対象)。CMA CGMの極東発ダーバン750ドル/TEUと合わせ、船社ごとに総額を比較したい。
  • テマ向けは11月1日積みから混雑料が加わる。CMA CGMは極東発ドライ200ドル/TEU。テマの滞船は7.56日へ悪化しており、納期にも余裕を見たい。
  • ダーバン積替えの東アフリカ・インド洋向けは日数に余裕を。DGTの沖待ちは平均10.5日、ポートルイスでは東航の抜港が出ている。
  • アジア〜地中海の所要は11月中旬から短くなる可能性。Yang Ming MD1(11月10日)・MS2(11月16日)のスエズ復帰が実現すれば、地中海経由の所要比較の前提が変わる。
  • 運賃の上昇は長続きを前提にしない。反発は鈍化しており、船社は欠便で水準を支えている。スエズ復帰でさらに船腹が戻る。
  • 燃料サーチャージと保険条件の確認。ブレントは114〜117ドル。米中間選挙前後の積みは戦争危険の付保範囲を確認したい。

来週以降の注目

  • 10/29Drewry WCIの次回発表(本記事執筆時点で未公表)。COSCO 第3四半期決算(10月30日の可能性あり)。
  • 10/31MSC 極東発サブサハラ・アフリカ向け運賃(10月15日〜)の適用期限。
  • 11/1CMA CGM テマ・フリータウン・モンロビア向け港湾混雑料が発効。
  • 11/3Hapag-Lloyd アジア・オセアニア発南アフリカ向けPSS 500ドル/TEU発効。米中間選挙。
  • 11/4Evergreen CES、欧州→アジアの片道でスエズ経由を試行(報道ベース)。
  • 11/5Maersk 第3四半期決算。
  • 11/9Premier Alliance FE1(ONE Continuity)初の西航スエズ通航。
  • 11/10Yang Ming MD1のスエズ復帰(報道ベース)。
  • 11/12Hapag-Lloyd 第3四半期決算。
  • 11/16Yang Ming MS2のスエズ復帰(報道ベース)。
  • 11/22Gemini SE5初便(Maersk Edirne、上海発)。
  • 12月第3週Maersk 西アフリカ新体制(WAF1・WAF5・WAF3・WAF6)開始。
  • 継続西アフリカ・南アフリカ港湾の滞船(ETD・ETA・カットの見方)、ホルムズ情勢と原油価格。

出典

  1. Drewry — World Container Index
  2. Xeneta — Weekly ocean container shipping market update (23 Oct)
  3. Kuehne+Nagel — Port operational updates (21–27 Oct)
  4. MSC — PA Trade from Far East to NWC, Mediterranean and Black Sea
  5. MSC — PA Trade from Far East to Sub Saharan Africa and Indian Ocean
  6. Container News — CMA CGM announces new congestion charges for Tema, Freetown and Monrovia
  7. Container News — CMA CGM updates surcharges for China, South America and Morocco shipments
  8. Container News — COSCO Shipping Holdings profit falls 34% in first half of 2026
  9. Container News — Hapag-Lloyd updates PSS from Asia and Oceania to South Africa
  10. Ahram Online — Suez Canal Authority meets Hapag-Lloyd
  11. Container News — Hapag-Lloyd flags rainfall risks to Kenya cargo flows
  12. Maritime Executive — Hapag-Lloyd and FIMI submit framework of revised structure for ZIM
  13. The Loadstar — Premier Alliance prepares for Asia-N Europe services return to Suez
  14. 工商時報 — 長榮 11月重返紅海
  15. 工商時報 — 陽明 MD1・MS2 復航紅海
  16. Logupdate Africa — HMM expands Africa network with GIA service
  17. 聯合報 — 萬海 9月營收
  18. Al-Monitor — Ship attacks in Strait of Hormuz hit record high in October
  19. Seatrade Maritime — Fire on KOTC vessel struck off Oman, tanker hit near Iraq
  20. Trading Economics — Brent crude oil

本記事は、各社の公表資料および報道をもとに OCEAN FREIGHT JAPAN 編集部がまとめたものです(対象期間:2026年10月22日〜10月29日)。Drewry WCI は執筆時点で最新の10月22日発表分、港湾の滞船は Kuehne+Nagel の10月21日〜27日版を掲載しています。Yang Ming・Evergreen のスエズ復帰は台湾紙の報道に基づくもので、船社の公式発表ではありません。運賃・サーチャージの水準や適用条件は発表後に変更される場合があり、発地・貨物・契約条件によって実際の適用と異なることがあります。実務での適用可否は、必ず各船社の正式タリフおよび見積でご確認ください。