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貿易実務ガイド

貨物海上保険の基礎

運送人の責任には限度があり、事故の損害を全額回収できるとは限りません。保険の種類と、付保する側・金額の考え方を解説します。

執筆・編集:OCEAN FREIGHT JAPAN 編集部|最終更新日:2026年8月20日

01なぜ保険が必要か

船社の責任は国際条約と船荷証券の約款で金額の上限が定められています。多くの場合、貨物の実際の価値よりはるかに低い水準です。

加えて、船社が免責される事由も広く定められています。荒天による損害、荷主が詰めた際の積付け不良、貨物固有の性質による変質などです。コンテナごと海没しても、全額が回収できるとは限りません

この差を埋めるのが貨物海上保険です。

02ICC(A)(B)(C)の違い

協会貨物約款(Institute Cargo Clauses)の3種類が基本です。

ICC(A)もっとも広い補償。免責事由に該当しない限り、あらゆる危険による損害を補償
ICC(B)火災・爆発・沈没・座礁・共同海損・海水濡れなど、列挙された危険を補償
ICC(C)もっとも狭い。火災・爆発・沈没・座礁など、大きな事故に限定

盗難や破損まで見るなら(A)が基本です。(C)は保険料が安い代わりに、日常的に起きやすい損害の多くが対象外になります。

戦争危険・ストライキ危険は別の特約として付保します。情勢によっては地域ごとに割増が設定されます。

03誰が付保し、いくらで掛けるか

付保する側は取引条件で決まります。CIF・CIPは売主が付保する義務があり、FOB・CFRでは買主が自分で手配します。誰が掛けるかを取り決めないまま出荷し、どちらも掛けていなかったという事故が実際に起こります。

保険金額はCIF価格の110%とするのが商慣行です。上乗せの10%は、事故時に失われる期待利益や諸費用を見込んだものです。

事故が起きたときは、荷受人側での受取時の検査と記録が重要になります。デバン時の写真、検数報告、運送人への損害通知が求償の基礎資料になります。

FAQよくある質問

保険料はどのくらいですか?

貨物の種類、仕向地、条件により幅があります。一般的な貨物であれば保険金額に対する料率は小さく、事故時の損害と比べれば費用対効果は高いといえます。

FOBでも自分で保険を掛けるべきですか?

FOBでは船積み後の危険は買主が負うため、買主が付保します。売主側でも、船積みまでの区間をカバーする内航保険を検討する余地があります。

保険はどこで手配しますか?

損害保険会社または代理店です。継続的に出荷があるなら、都度契約より包括契約(オープンポリシー)のほうが手続きが簡素になります。

この記事について

この記事はOCEAN FREIGHT JAPAN(SK株式会社)編集部が、国際輸送の実務経験と公的機関の一次情報をもとに作成・監修しています。内容は掲載時点の情報に基づくものであり、最新の法令・規則は各公的機関の公式情報をご確認ください。

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